玄関 > 楽曲紹介 > 波敷村の勇魚唄 (なみじきむらのいさなうた)

波敷村の勇魚唄 概要

静越一の漁獲量を誇る波敷(なみじき)という大きな漁村で代々伝わる話。

静越地方の最南端に位置する波敷村は、遥か昔から漁師の村として栄えてきた。

波敷の漁師達は威勢が良く、それはそれは勇猛果敢で恐れ知らず。
周囲の山賊や盗賊でさえ波敷村には近寄らなかったと言う。

それもそのはず。
漁師達が相手にしていたのは「勇魚(いさな)」と呼ばれる大きな鯨だったからだ。

人間の何十倍もある勇魚が暴れまわって大波を引き起こそうが、潮を吹こうが、
全く臆する事無く掛け声をかけながら彼等は槍や銛を手に勇魚に飛び掛り、
時間をかけて仕留めるのだった。

そして仕留めた大きな勇魚を幾重にも縄で縛り、朝焼けを背に何十隻もの船で引きながら凱旋する様子は、
実に見事で、それは今尚続いている。

勇魚捕りでは、激しい鯨の抵抗により海に投げ出されたり叩きつけられたりして命を落とす者も多かったと言う。

しかし、ある時期を境に勇魚捕りで命を落とす者は一人としていなくなった。
寿々(すず)と言う女性が漁団の頭領を勤めてからである。

この女頭領、若く顔立ちは綺麗ではあるが、荒くれだらけの漁師達を見事に束ねるだけあって、
口は悪い、態度も大きい、服装も常にボロボロ。
言う事を聞かない若い衆に対しては鉄拳制裁も当たり前と言う非常に勝気な女性であった。

しかし、幼い頃から勇魚捕りに関わっていただけあり鯨を探す目は確かな上に、
誰よりも真っ先に鯨に飛び乗り的確に急所を突く様は他の荒くれ達に羨望され、
若者からも熟年の漁師からも厚い信頼をおかれていたと言う。


「ここでお前達が死ねば、それだけ勇魚を捕るのに時間がかかる。
ここでお前達が死ねば、仲間は悲しみ士気が下がる。
ここで死ぬのは名誉でもなんでも無い。
はた迷惑な犬死にだ。
何が何でも生き残る事を考えながら勇魚捕りをしな!」


これが漁に行く前の荒くれ達に対しての寿々の口癖だったと言う。

エイヤサー!!
ヨイヨイヨー!!
ハラソー!!
ヨーイヨーイ!!

こうして威勢の良い掛け声と共に、波敷村から漁団が出発するのだった。

波敷村の勇魚唄 歌詞

作詞:お優美  作曲:狐邇  編曲:奏手候


静越の朝焼け 東の空白み始めるや
静寂を切り裂き 威勢の良い声が聞こゆ


ハラソ ヨイヨイヨー
ハラ ヨイヨイヨー
エイヤサー ヨイヨイヨー
ハラソイヤー ヨイヨー


臆するな
荒波を味方に付けりゃ
お天道さんも笑う
えいそら行け えい行け